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日本の森林に生えている木といえば、杉や檜だ。
木造住宅用の材料として使用されてきた杉や檜だが、針葉樹とよばれる木で、広葉樹と比べて比重が低いため、椅子など強度の必要とされる家具にあまり使われておりませんでした。
しかし、天童木工の技術により、針葉樹の杉も椅子の材料として使用することができるようになったのです。
針葉樹と広葉樹の強さの違い
同じサイズの木材に荷重を書けた場合、
針葉樹の杉は68kg
広葉樹のタモは145kg
で破断しました。
この実験により、広葉樹の強度は針葉樹の2倍以上あることがわかります。
もし、針葉樹で広葉樹とおなじ強度の椅子を作るためには、2倍以上の材料を使って強度を出す必要があります。
デザインに制限をあたえ、また材料をたくさん使用するとコスト高になってしまいます。
そこで、天童木工は長年の研究により、杉を圧密することに成功しました。
針葉樹を強化する圧密
これは、圧密加工前と後の木の繊維状況を比べた画像です。
木繊維が圧密されて半分近くまで圧縮されていることがわかります。
それでは、どのようにしたら杉を圧密できるのでしょうか?
まず、杉を2ミリにスライスします。
その2ミリの杉をプレス機に通して、1ミリの厚さに押しつぶします。
1ミリに加工された薄い杉の板を、厚い木材としてするには重ねて貼り合わせなければなりません。
そこで登場するのが成形合板の技術です。
何層にも重ねた1ミリの杉板を鉄の型枠に入れて、プレスします。
杉の板重ねて圧縮すると椅子のフレームのカタチが出来上がります。
圧密加工と成形合板の技術を組み合わせることで、針葉樹を使用しても強度の強い椅子となるのです。
圧密加工後の強度は、134kgとなり、加工前68kgの約2倍です。
針葉樹の可能性
地産地消という言葉がありますが、地球環境を考えても使う人のことを考えても、その環境で取れたものをその場所で使用した方が、使われる木も使う側の人間も心地よいです。
椅子の場合、広葉樹の材料がメインとなるため、アメリカやヨーロッパのオークやウォルナット、最近では東南アジアのゴムの木などで作られた椅子が、日本に輸入されてきます。
木にとっては、育った環境の方が好ましく、自然体でいられます。
日本に輸入された椅子やテーブルが割れることがあるのは、気候や環境が違うからです。
椅子には敬遠されてきた針葉樹ですが、国産材の杉や檜が家具で使われるなら、日本の林業も家具業の発展にもなるし、杉や檜の家で建てられた木造住宅に住む日本人にとっても心地よいはずです。