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今現在、日本に販売されている木製イス、これの主材として使われている木材をご存知ですか?
最近のネット販売では材料が記載されているので、気づいている方も多いかと思います。
気づいていない方も結構いますかね。
あなたが家具小売店へ出かけていったとき、食卓セットの販売コーナーを見渡してみて下さい。
10万円以下の食卓セットの木材は、ほぼラバー材(ゴム材)が使用されています。
そうです。ラバー材です。ゴム材です。
ラバー材とは、あのゴムの樹脂がとれる「ゴムの木」です。
ラバー材の場合は、杢目がそれほど美しくないので、概してライトブラウンやダークブラウンに塗装されています。
だから、杢目がわかりづらく、「無垢の木材」というのはわかりますが、「一体何の木なんだ?」と思う方も多いでしょう。
これがラバー材そのままの杢目です。
ラバー材が木製イスに使用される理由
ラバー材が木製イスに使用されるにはいくつか理由があります。
- 低コストの上一定量の材料供給されている。
- 強度と弾力性があり、その上材が硬すぎず切削加工がし易い。
- 木製イス工場が多い地域で材料が手に入る。
1.低コストの上一定量の材料供給されている。
ラバー材は、比較的安い材料です。
材料が安い理由は、ラバーの樹液を取るために、東南アジア一体にゴムの木が植林されているからです。
ベトナム・カンボジア・ラオス(フランス領インドシナ)、かつてフランスが植民地にした時代に、ゴムの木を大量に植林しました。目的は、ゴムの樹脂の入手です。
フランスは、このインドシナで大量のゴムの樹脂を入手して稼いだんです。
しかも、ゴムの木は樹脂を取り尽くしたあとは、木材としても利用できます。
垂直にまっすぐ伸びるゴムの木は、木製家具の材料として最適でした。
また、ゴムの木の特徴として、成長が早いことが上げられます。竹ほどではないですが、草のような速さで成長するので、伐採した後植林を繰り返せば、半永久的に木材の入手が可能となります。
ゴムの木は、ゴムの樹脂が取れて、木製家具の材料としても使える、2つの用途を果たすゴムの木はとても生産的な木なのでした。
しかし、近年では中国などの後進国が先進国の仲間入りをはじめたため、家具の需要も以前にも増しており、ラバー材の材料代は年々高騰の一途を辿っています。(日本では家具の需要が減っています)
2.強度と弾力性があり、その上材が硬すぎず切削加工がし易い。
ラバー材は、木製イスを作る上での最低限の強度と弾力性を持っています。
国産の杉や松、海外のパインなどは、木が垂直に伸び、材料を取りやすいですが、節が多く比重も軽いため、強度と粘りがありません。椅子に使われることもありますが、主要な材とはいい難いです。
ラバー材は、木がまっすぐなため材料が取りやすく、大きな節もそれほど見られず、またある程度の強度と弾力性があるため、木製イスの材料として最適です。
残念なのは、
「杢目が美しくない」
ことですが、最近では塗装や加工の技術を駆使して、ラバー材でも高級に見える家具が作られています。
3.木製イス工場が多い地域で材料が手に入る。
日本でもそうですが、木材の産地の近くには、木製家具を作る工場があります。
ゴムの木が植林されている東南アジアの地域にも、木製家具の工場がたくさんあります。
特に多いのがタイとベトナムです。
最近では、
「ホームファッションの大手小売店ニトリが、ベトナム南部に新しい家具工場を建設中」
ということで家具業界では話題になっています。
タイやベトナムで生産された木製家具が日本へ出荷されて、日本の小売店に並んでいるのです。
10万円以下の食卓セットは、タイ、ベトナム、マレーシア、中国あたりで生産されたものばかりです。
海外で生産されたと言っても、日本の技術で生産し、日本品質に近い製品もたくさんあります。
低価格で、そこそこの品質とデザインの家具が手に入る。ニトリやイケアが伸びてきた理由ですね。