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【椅子】と言えば、どのようなものか簡単にイメージできるほど身近な家具です。
しかし、椅子は知れば知るほど奥深いもので、人によっては椅子のイメージは異なります。
厳密に言うと、
椅子=CHAIR(チェア)
ではありません。
椅子≒CHAIR
です。
あなたは、【椅子】と聞いて何をイメージしますか?
今回は【椅子】の定義について解説していきます。
いすと椅子の違い
いすの語源は【倚子(いし)】に由来します。(倚子については後述します)
もともと【椅子(いす)】という言葉は木製いすを意味しますが、
ほとんどの人が
いす=椅子
という意味で使用しています。
文献によってもさまざまですが、下記のように使い分けた方が無難です
いす
いす=人が腰掛ける家具(座具)
椅子、チェア、スツール、ベンチ、ソファなど、人が座る家具をまとめて【いす】と呼ばれます。
椅子
椅子=木製のいす
椅子とは狭義では、木製いすを意味します。
ここから下では、座具をひっくるめて【いす】として記事を続けます。
それでは、木製いすである【椅子】と【チェア】ではどう違うのでしょうか。
椅子とチェアの違い
じゃあ、椅子=チェアなのか。
というと、それもまた違います。
日本と欧米ではライフスタイルが違うため、家具の発展の仕方もまた別々です。
現代では、椅子もチェアも混同して使われていますが、
日本や中国に由来するものを【椅子】
欧米に由来するものを【チェア】
といった方が分かりやすいですね。
でも、実際はどうでもいいです。
大いに混同して使ってもらってかまいません!!
具体的になにが問題なのかというと、例えば鉄とプラスチックとクッション材で出来ている【オフィスチェア】。
これは明らかに欧米文化の発展系です。【事務椅子】と訳してもいいですが、現代ではそんな使われ方しませんよね。
また、日本語の【椅子】では木製いすをひっくるめて意味しますので、チェアもベンチもスツールも【椅子】のくくりに入ります。
椅子座のライフスタイルの長い欧米では、いすの分類も多いです。
チェアといえば、背もたれ付きの一人用の椅子を意味しますし、スツールと言えば背もたれのない座面と脚が付いたいすを意味します。
日本のいす
床座のライフスタイルであった日本は、座具の種類が少ないのが特徴です。
かつて、日本は床座のライフスタイルであったため、西洋文化が入ってきてから庶民は椅子に座るようになりました。
椅子の由来となる日本の座具
倚子
天皇など高位のヒトが座っていた椅子で、御所などへ行けばみることができます。
床子/床几
背もたれのないタイプの木製ベンチです。庶民でも座ることが出来ました。
欧米のいす
前述の通り、欧米には多くのいすの分類があります。
覚えておいた方が、家具購入の際に役に立つでしょう。
オフィスチェア
事務所などで使用される仕事用のチェアです。
様々な体型の方が座れるように、回転/キャスター、上下昇降機能が付いています。
リクライニング機能がついているものもあります。
小ぶりなオフィスチェアなら、学習いすとしても使用できます。
サイドチェア
背もたれ付きのチェアです。
日本では、ダイニングテーブルと合わせて使用されるのでダイニングチェアと呼ばれることの方が多いです。
その他、デザイン様式やデザイナーがつけたチェアの名前などで呼ばれることもあります。
イギリスの農村で生まれたウィンザーチェア
動画で解説 ハンス・ウェグナーの『ザ・チェア』ができるまで
スツール
背もたれのない腰掛けいすです。
ラウンジチェア+オットマン
ゆったりと寛ぐためのチェアです。
それと合わせた足置きをオットマンと言います。
ラウンジやリビングで使用されます。パーソナルチェアと呼ばれることもあります。
ソファ
リビングで使用されるクッション付のいす。
人間工学観点からみた【いす】
人間工学とは、ヒトとモノを結ぶ工学です。
以下にヒトが心地よく、使いやすくそのモノとの接点を生み出すかを日々研究している人たちがいます。
上では、紹介していませんが車の高級車は、人間工学の最先端が反映されている【いす】です。
人間工学による【いす】は、座面を支えるものではなくて、腰~背中を支えるものです。
ヒトは、直立している方が背もたれがまっすぐとなり、自然な姿勢となります。直立時に下半身に負担がかかりますが、上半身へ負担は少ないです。
ヒトが座っている時は下半身の負担がなくなりますが、背骨が曲がった状態になり、無理のある姿勢になります。
そこで、いかに自然な体制で座ることができるか、というのが人間工学の考え方です。
いすの座り心地に影響を与える要素が次の3つです。
- 寸法・角度
- 体圧分布
- クッション性
座面に対して垂直に座ると座面にかかる体圧が大きくなります。
背もたれを倒して、少し重心がかかるようにすると、腰と背に体圧が分散されるのでお尻に掛かる負担が減り、楽になります。
さらに、クッション性を与えることで全体的に体圧分散すれば、自然な座り心地となります。
上記のことから、人間工学的な観点からみた理想的な【いす】は、座面と背もたれがある【いす】となります。
いわゆるスツールといわれるいすは、座り心地という要素がほとんど反映できず、【いす】というには不完全な座具というわけです。