椅子ラボ

アノニマスデザインの椅子

Anonymous Designとは

アノニマスは「作者不明の」「無名の」という意味です。
アノニマスデザインとは、デザイナーが特定できない、あるいは個人名を伏せられた状態で世に送り出されたデザインです。
例えば誰々がデザインしたとか、ブランドとか、そういった名称の冠を付けて謳っていない製品です。

家具製品の場合、「誰々のデザイン」というと高くなる傾向があります。いわゆるデザイナーズ家具です。

それに対して、ニトリや家具専門店などではデザイナーの名前を出さない「アノニマスデザイン」の家具が置かれています。
ただニトリの家具をアノニマスデザインとしてもまちがえではないですが、ちょっと違和感を感じます。

なぜなら、結局ニトリの家具にデザイナー名が冠されてないにしろ、和や北欧などの「ティスト」の意図をもってデザインされているからです。
柳宗理が用途美としての美しさを見出したアノニマスデザインとは違うからです。

ヴァナキュラーのウィンザーチェアこそがアノニマスデザインの椅子

イギリスの農民たちが生み出したヴァナキュラーな椅子「ウィンザーチェア」
なぜ、農民が椅子を作り出したか、というと当時の農民は昼は農作業、夜になると家で副業をしていました。
現代と変わりませんね。

副業として木を削って家具を作る農民もいました。
アッシュやビーチが生える森林近くに住む農民たちは、夜は木工家となっていたのです。

ウィンザーチェアの原型は、スツールウィズバックと呼ばれる椅子です。
3本脚の板座スツールに背もたれとなる板をぶっ刺したチェアです。
これは特に工場など作業用に使われました。3本脚の椅子は凸凹の地面に置いても安定します。

スツールウィズバック

 

スツールウィズバックの背板が丸棒となり、洗練されて生まれたがウィンザーチェアと言われています。
ウィンザーチェアこそ、「作者不詳のデザイン」=「アノニマスデザイン」の椅子の代表選手です。

 

 

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