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ネット社会に葬られる小さな家具店と運送会社に葬られるネットショップそして進む寡占化と二極化

ネット社会に葬られる小さな家具店

5年前には、毎年3000万利益が出てる硬いビジネスだと言っていたとある家具店の社長。
今年は家具部門2000万円赤字で、他のビジネスで補填してるらしいです。

ネット社会で家具の価格が比較できるようになって、囲い込み営業ができなくなりました。
家具は見て触れて買う物だけど、ネットショップのおかげで、小売店で見たものをネットで安く購入できる時代です。
消費者にとっては選択肢が増えて、比較をしやすくなり、良いものをより安く買えます。

しかし、売り場の人件費がかかる家具店はネットショップと同じ粗利の取り方だと利益がとれません。
いままでは、地域内にしか競合はなかったが、ネットのおかげで日本全国のネットショップが競合になりました。

この大きな変化点に対応できない家具小売店は並み売り上げダウン⤵️しています。

冒頭の社長も
「ネット社会の流れについていけない」
と廃業も視野に入れているようです。

運送会社に葬られるネットショップ

一方で、ネットショップは儲かるか?

というと、そうでもなくて。
調子の良かったネットショップも配送料の値上げが響いて、廃業した店も増えています。
家具はサイズが大きいだけに物流費がかかります。

運送会社が人手不足を理由に、年々配送料を上げています。
大きな家具を送れば、配送料1万円以上で、3万円くらいかかる場合もあります。
しかし、ネットショップでは
「何万円以上の家具は配送料無料」
とうたっており、配送料は実質ネットショップ負担でした。
ところが、近年の配送料値上げ続きで、粗利が配送料で削られて赤字に転落しているネットショップです。

  • 送料無料を続ければ売上が増えるが粗利がない
  • 送料無料をやめれば注文が減って売上があがらない

どちらに転んでも利益が出ないという板挟みの状況が、今のネットショップです。
どちらにも転べないネットショップは、体力勝負・我慢比べが続いていて、価格競争のみで売上を伸ばしてきたネットショップや単に資金力のないネットショップが徐々に脱落していっています。

また、Amazon が本格参入していないのが家具で、
「Amazonの動き次第で、家具業界の勢力図がかわる。」
との見方もあります。

収入格差による二極化

「ジャーナルスタンダード」といったアパレルブランドを運営するベイズグループはご存知でしょうか。
ベイズグループではアパレルだけでなく、「ジャーナルスタンダードファニチャー」とのインテリアブランドショップも運営しています。

www.baycrews.co.jp

インテリアショップも価格は高め。
ライフスタイルショップでブランド力があるから設定できる価格です。
ファッションや家具が本当に好きでないと手を出しづらい価格帯です。

そこで、似たような世界観でお手頃価格なのが、ニコアンド。
ニコアンドもアパレルから家具に参入してきたブランドです。

正直言って、ジャーナルスタンダードとニコアンドでは、購入者の収入格差があります。
僕は勝手に、ジャーナルスタンダード層ニコアンド層、という呼び方をしています。
家具店でいえば、かつてのIDC層とニトリ層といったところでしょうか。

これが、収入格差による二極化です。

ところが、そんなニコアンド層にもジャーナルスタンダードに手を出せるサービスが生まれました。

それが、サブスクリプションという家具の課金性レンタルサービスです。

subsclife.com

ジャーナルスタンダードファニチャーなどの家具が月額500円から使用できます。
これなら、欲しくても高くてなかなか手を出せない高級家具を家に置くことができます。
学生や独身社会人にとっては良いサービスだと思います。

寡占化と二極化

つい数年前までは、ネットショップが台頭してきた家具業界ですが、物流費の上昇により陰りがみえはじめました。送料無料をいつまで続けるか、どこで値上げをするか、という厳しい状況です。

一方で、家具の実店舗では、ネットでオープンになった家具の価格により、囲い込みができなくなりました。しかし、ネットショップの送料を取るようになれば、実店舗で自社配送している店舗は価格的な巻き返しを狙えます。

ということは、どんな店舗が強いかわかりますね。
ネットショップも実店舗もあるお店が強いんです。
実店舗で実際の商品をみて、ネットショップで同じものが買える。
しかも自社配送であれば、配送料の負担も少なくて済みます。

ですから、それに気づいている小売店は、ネットショップに力を入れ始めています。
しかし、ネットショップというのはIT力が必要です。実店舗というのはとてもアナログな仕事で、ネットショップとは別物です。
なので、ネットショップを進めるには旗振り役の力量が問われ、社長がネットショップに力を入れたいと考えていても、昔ながらのやり方でやってきた会社ではなかなかネットショップの売上が上がらない。
実店舗のある小売店が、なかなかいいネットショップをできない理由がここにあります。

結局は、マネジメントのしっかりできている大企業が先を行きます。
そこで、実店舗でもネットショップでも大手の方が強くなくっていくんです。
行きつく先には、大手小売店の寡占化が待っています。
低価格・良品質そしてどこでも買えるという利便性で、多くの顧客を獲得していきます。

さらに収入格差が進むほど、家具業界の寡占化も進むとみられています。
家具にこだわりがない。こだわって選ぶほど収入がない人は、ニトリやイケアへ行くことでしょう。

一部の家具にこだわりあって収入が多い人は、ライフスタイルショップか高級家具店。
しかし、後者は2割いるかどうか。
購買層の二極化と大手企業の寡占化がこれからの家具業界の未来です。

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